Raccoon's World

テニスと筋トレ好きのRaccoonが思ったこと、考えたことなどを書いています。

テニスのフットワーク:良いフットワークとはどうい事か?

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こんにちは、Raccoonです。

 

フットワークはテニスの上達には欠かせない要素。

 

スイングの良し悪し以前に、良い位置までキチンと動けなければ、ボールをしっかりと打つことは不可能です。

 

自分もジュニアの時は、ラダーやスパイダーランなどのフットワークドリルをたくさんやりました。コーチとなった今は、自分のレッスンに取り組むように意識しています。

 

多分テニスコーチであれば誰でも、フットワークは大事なものだと考えていると思います。

 

そんなテニスのフットワークですが、「良いフットワーク」とは何を基準にして決まるのでしょうか?

これはコーチの経験や考え方、選手の年齢、プレイタイプ、技術レベルなどによって変わる思います。ただ、これらの要因に左右されない、良いテニスフットワークに欠かせない普遍的な要素もあると思います。

 

それらの要素を解明するべく、2019年にDr. GilesのチームがTennis Australiaと共同でテニスのフットワークに関する研究を行いました。

 

この研究では15人のトップレベルのテニスコーチとストレングス・アンド・コンディショニングコーチに、「良いテニスの動きとは」についてインタビューを行いました。

 

そこで分かったのが、コーチ達の考えるテニスフットワークにおける3つの大事な要素。

 

プレイを読む(Read the play)、素早い動き(Speed)、効率の良い動き(Efficient moevement)

 

これらの要素について考えるにはまず、何故テニスには良いフットワークが必要なのかということから考える必要があると思います。

 

フットワークの必要性

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Dr. Giles達の研究でも、テニスにおけるフットワークの目的をコーチ達の意見からひも解いています。

 

曰く、自分に向かって来るボールが到達する前、または目標とするボールコンタクトが達成できるタイミングまでにボールまでたどり着くため。

 

要するに、自分の望むコンタクトポイントで体のバランスを保ちながらボールを打つため。

 

これがテニスのフットワークの目的になります。

 

それでは、コーチの目線から見た、良いテニスフットワークの要素を見ていきましょう。

 

1、プレイを読む

 

フットワークじゃないじゃん、と思うかもしれませんが、動きの良いテニス選手には欠かせない要素です。

 

Dr. Gilesの研究では、これを更にもう二つの要素分けています。

 

一つ目は、相手の動きを読む。

 

これは相手の動きを読んで、次のボールを予測する能力です。

 

二つ目は、テニスの戦略の知識。

 

これは、ここにボールを打てばここにボールが返ってくるという、テニスの戦略の知識を指します。

 

この二つのバランスによって、選手はプレイを読みボールに向かって動けるのです。

 

2、素早い動き

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これは簡単ですね。

 

足が早ければ目標の位置にも素早く動けるということ。

 

特に一歩目のスピードは、この研究の結果でも重要視されていました。

 

注目するべきは、現在のテニスにはスピードが欠かせない要因だということが再確認されたこと。

 

ということは、ウェイトトレーニングやプライオメトリックトレーニングなどを使ってスピードを鍛えていくことが選手には重要ということです。

 

この手のトレーニングはジュニア時代から始めることが大事ではないか、と自分は思っています。

 

3、効率の良い動き

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無駄のない、バランスの取れた動きでボールまで動く能力です。

 

インタビューされたコーチ達は特に動きの滑らかさ、バランス、ボールとの距離調整とそのためのアジャストメントステップ、重心の低さを重要視していました。

 

YouTubeなどで見かけるフットワークドリルは、この動きの効率を鍛えることを目的としたものが多いのではと思います。

 

良いフットワークを育てる

Dr. Gilesの研究から分かった重要なことは、選手は目標とするコンタクトポイントでボール打つためにボールの到着点に先回りするということ。そして、それを達成するためにプレイ読み、素早く効率の良い動きを使うのです。

 

ということは、テニスのフットワークを育てるにはプレイを読む能力、スピード、効率の良い動きの3つを練習する必要があります。

 

ここで、練習プランを組み立てる際に気を付けてもらいたいのが、これら3つの要素個別で練習するのではなく、3つ全てがそろった練習方法を考えることが大事ということ。

 

これまでの研究から、ひとつの動きを部分ごとに練習することや(サーブのトスがいい例です)、環境を単純化させた練習(フォアのみの球出し)は動きの習得には向かないということが分かっています。

 

あくまで、試合やラリーのなかで動きを覚えさせていくことが大事なのです。

 

なので、フットワークも同じことです。

 

テニスの試合のように、ボールがどちらに来るのか自分で判断しなければいけない状況下で素早く効率の良い動きを育てる。これが理想的なのだと思います。

 

今回紹介した研究論文

Giles, B., Peeling, P., Dawson, B., & Reid, M. How do professional tennis players move? The perceptions of coaches and strength and conditioning experts. Journal of Sports Sciences, 37(7), 726–734

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02640414.2018.1523034