Raccoon's World

テニスと筋トレ好きのRaccoonが思ったこと、考えたことなどを書いています。

テニスにおける「フロー」。ポジティブな気持ちがパフォーマンスにつながる

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こんにちは、Raccoonです。

 

前回テニスストロークの動きの流動性のことについて書きました。

 

racoonworld.hatenablog.com

 

そこで紹介したフローという概念について、今回はもう少し掘り下げてみようと思います。

スポーツにおけるフロー

フローとは、

 

フロー: Flow)とは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。ゾーンピークエクスペリエンス無我の境地、忘我状態とも呼ばれる。心理学者のミハイ・チクセントミハイによって提唱され、その概念は、あらゆる分野に渡って広く論及されている。

 Wikipediaより

 

フローはスポーツの分野でも研究されている概念です。

 

例えば、2012年にDr. Andrew Renfreeのチームによって発表された研究では、20㎞サイクリングタイムトライアル2回の結果とサイクリスト達のパフォーマンス(パワーアウトプット、自覚的運動強度RPE、imgセンサー、Worcester Affect Scale(その時の気持ち;ポジティブ‐ネガティブ)、血中乳酸濃度)の関係性が調べられました。

 

結果は、Worcester Affect Scaleのみが1度目と2度目のタイムトライアルの結果の違いに関係していたことが分かりました。

 

サイクリスト達は、結果が良かったタイムトライアル中はよりポジティブな気持だったといことです。

 

ポジティブな気持ち=フロー、またはそれに近い状態、というのがこの研究の主な結果。

 

要するに、フロー状態にいることでパフォーマンスが向上したとも言えます。

 

ただ、自分で意図的にフロー状態にはなれないのかも知れない、ということも分かりました(コントロールできるのであれば、どちらのタイムトライアル中もポジティブな気持ちで行えるので)。

 

ポジティブな気持ちがパフォーマンスを向上させるという結果は、2014年にDr. Blanchfieldチームから発表された、ポジティブな自分への声かけは持久力を向上させるのか、という研究でも報告されています。

 

どうやら、ポジティブな気持ちの時にはフロー状態になりやすいようです。

 

テニスにおけるフロー

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フローとテニスのパフォーマンスの関係性を調べた研究も発表されています。

 

2017年にDr. Koehnのチームによって発表されたものです。

 

小規模な研究ではありますが、テニスの試合のパフォーマンスと、試合中のフローの状態の関係性について調べています。

 

結果は、試合のパフォーマンスが良い時(エースとウィナーの数がアンフォーストエラーより多い時)に選手はフロー状態にあると自己申告していました(この研究では、選手のフロー状態を測るアンケートを使いました)。

 

研究の参加者が2人だったことで、パフォーマンスが良いからフロー状態になるのか、フロー状態の時にパフォーマンスが良いのかは分かりませんでした。

 

ただこの結果から言えることは、フローがテニスのパフォーマンスに良い影響を与える可能性十分にあり得るということ。

 

自分は、フローはテニスのパフォーマンスにも効果があると思っています。こは自分の経験をもとにした個人的な見解ですが。

 

というわけで今回はフローについてでした。

 

コーチングや読んでくれた方ののテニスの改善に役立てば幸いです。

 

以下が紹介した研究論文へのリンクです。

Renfree, A., West, J., Corbett, M., Rhoden, C., & Gibson, A. (2012). Complex Interplay Between Determinants of Pacing and Performance During 20-km Cycle Time Trials, International Journal of Sports Physiology and Performance, 7(2), 121-129.

https://journals.humankinetics.com/view/journals/ijspp/7/2/article-p121.xml

 

Blanchfield, Anthony William; Hardy, James; De Morree, Helma Majella; Staiano, Walter; Marcora, Samuele Maria. Talking Yourself Out of Exhaustion: The Effects of Self-talk on Endurance Performance, Medicine & Science in Sports & Exercise: May 2014 - Volume 46 - Issue 5 - p 998-1007

https://journals.lww.com/acsm-msse/Fulltext/2014/05000/Talking_Yourself_Out_of_Exhaustion___The_Effects.19.aspx

 

Flow state and perforamnce patterns in tennis competition

https://juniperpublishers.com/pbsij/pdf/PBSIJ.MS.ID.555715.pdf