テニスのストロークの流動性。「形」が必要な理由
こんにちは、Raccoonです。
先日、ドミニク・ティエムの練習動画を見ていて改めて、プロストロークの動きのスムーズさ感心させられました。
プロも大事にしているスイングモーションの流動性。
日頃のレッスンのアドバイスやドリルに取り入れられるのではと思ったので、自分の意見や考察をまとめてみました。
流動的なストロークの動き
プロの選手のラリーを見ていると、「簡単そうに打っているなー」といつも思わされます。フェデラーのストロークがいい例だと思います。
フェデラーはいつでも肩の力が抜けた、自然でスムーズな動きでボールを打っていますよね?
それではティエムはどうでしょうか。
フェデラー程簡単そうに打っているイメージはないと思いますが、ティエムはすごくストロークの動きのスムーズさを大事にしている選手だと自分は思っています。特に練習中です。
Dominic Thiem Training US Open 2019 Court Level View
上の動画を見てもらうとわかると思うのですが、ひとつひとつの動きを丁寧に確認しながらも、スムーズにひとつの動きとしてボールを打っているように見えます。
テニスのストロークの動作は、それぞれの体のパーツがリズム良く適切なタイミングで動くことが大切。
なので、ティエムは体の動きのリズムとタイミングを大切にしながらボールを打っているのでは、と思っています。
なぜ、テニスのストロークにはリズムとタイミングが大事なのでしょうか。
伸長‐短縮サイクル
伸長‐短縮サイクルとは、
ふくらはぎの筋肉の一つである腓腹筋 は、アキレス腱という人間の体のなかで一番大きい腱と直列に付着しており、これを腓腹筋―アキレス腱複合体と定義している。この筋腱複合体は、地面に接地 すると同時に強制的に引き伸ばされながら身体のもつ運動エネルギーを受け止め、その後、縮みながらキック動作を行っている。このように筋腱複合体を伸ばし てから縮めるような運動は、伸張―短縮サイクル(Stretch-Shortening Cycle: SSC)運動と呼ばれ、ヨーロッパを中心とした研究グループによって、そのメカニズムが明らかにされてきた。*1
上はふくらはぎの筋肉とアキレス腱を例にした伸長‐短縮サイクルの説明。それぞれの関節は筋肉と健が伸ばされた後縮むことで動いています。
テニスのストロークも同じこと。ストロークの動きに関与した一連の筋肉と健の伸長‐短縮サイクルで関節が動くとで、ファアやバックの動きになっているのです。
そして、これらの動きのがタイミング良く行われることで、スイングのスピードを上げることが可能になります。
そう、ストロークのフォーム(形)がなぜ大事なのかというと、タイミング良く連続的に体の部位を動かして、スイングのスピードを上げるため。ボールのスピードもスピンの量も、スイングのスピードが上がらないことにはどうにもなりません。
ケガをせずにスイングスピードを上げられるかどうか、これはテニスストロークのファームを考える時にはとても大事だと思っています。
テニスのストロークは伸長‐短縮サイクルの連続によって生み出されているので、この原理を理解することはコーチングや練習に役立つと思います。
テニスストロークと「フロー」
フローとは、
フロー(英: Flow)とは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。ゾーン、ピークエクスペリエンス、無我の境地、忘我状態とも呼ばれる。心理学者のミハイ・チクセントミハイによって提唱され、その概念は、あらゆる分野に渡って広く論及されている。
よく言う、ゾーンに入るというやつですね。
このフローを意識した練習、ストロークの動きをスムーズに行うのに有効なのでは、と考えてます。
ボールのスピードやコース、フォームに集中した練習ではなく、動きのスムーズさやラリーのテンポ、ボールを打つタイミングリズミを意識した練習。Flowの意味(流れ)と同じく、ラリーや自分の動きの流れに意識を持っていきます。
このような意識を育てておけば、試合中にうまくいっていない時に自分のプレイやスコア以外のことへ意識を持っていきやすくなるかもしれません。
意識をスコアなどから一回外して、動きやリズムに集中することでマインドフルネスのような効果も見込めるかもしれません。
すぐに目に見える効果が出る練習ではないですが、試合の前などの負荷を引くくする時期には使える練習だと思います。
というわけで、今回はストロークの動きをスムーズにする練習も必要なのでは、という話でした。
もし、試してみたよ!という方がいたら、感想をもらえたら嬉しいです。