トップアスリートがトップの理由
こんにちは、楽です。
トップレベルのアスリートとトップまではいけなかったアスリート。何が決め手となってアスリートのレベルの差って生まれるのでしょうか?
どうも両者の差は子供時代のスポーツへの関わり方と密接に関係しているようです。
今年Perspectives on Psychological Scienceから発表された研究によると、トップレベルのアスリートはトップまでいけなかったアスリートと比べると、子供時代に多種目のスポーツを行っており、また1つのスポーツに専門化したのがトップまでいけなかったアスリートよりも遅かった傾向があることが分かりました。
逆にトップまでいけなかったアスリートはスポーツの早期専門化が多かったようです。
また、アスリートの早期の成功(ジュニア時代)は成人してからの成功には関連していないという結果が報告されました。
以下にこの研究の概要をまとめました。
研究のタイトル
What Makes a Champion? Early Multidisciplinary Practice, Not Early Specialization, Predicts World-Class Performance
研究の目的
- 一つのスポーツに専門化するのと色々なスポーツを行なうのとどちらの方がトップアスリートの育成に向いているのかを調べる
- アスリートの早期の成功は成人してからの成功に関連するのかを調べる
研究の方法
- 今までに発表されているスポーツでのタレントに関した論文の結果を統合(メタアナリシス)
- 51の既存の論文が対象
- 合計で6096人のアスリートのデータが分析された
- そのうちの404人がオリンピックメダリスト。さらに404人中209人は金メダリスト
結果
- 成人のワールドクラスアスリート(18歳以上でメダリスト取得または国際大会で10位以内)は成人のナショナルレベル(18歳以上で国代表ではあるが国際大会10位圏外)と比べて子供時代はサンプリング(色々なスポーツに参加)が多い傾向。ワールドクラスはスポーツの専門化がナショナルレベルよりも遅かった。それにより、ワールドクラスのアスリートはナショナルレベルのアスリートと比べて成績がゆっくりと向上していく。
- 子供時代の成功は成人してからのアスリートの成功に必ずしも必要ではない。成功したジュニアアスリートは早期専門化の傾向が見られた。
- プレイアクティビティのアスリートの成功への関連性は発見されなかった。
考察
- かなり大規模な研究なのでこの分野では重要な研究になりそう。
- やはりサンプリング(多種目のスポーツに参加)が大事らしい。
- ただ、サンプリングがなぜアスリートの成功に貢献するかの詳しい理由はわかっていないよう。
- ジュニア時代の成功が成人してからの成功には関係ないという結果はコーチとしては耳が痛い。どうしても、目先の成功に目がいきやすいので。長期的な目を常に持たないと。
まとめ
というわけで、今回は今年発表されたトップアスリートがなぜトップになれるのかを調べた研究論文についてまとめました。
この論文から学べる重要なメッセージはやはりサンプリングの重要性と長期的な育成を心がけること。
本当にトップ(例;金メダリスト)を目指すのであればジュニア時代は勝ちを追いかけずに、しっかりと育成に目を向ける覚悟が必要かもしれませんね。